映画 弱虫ペダル を観て欲しいはなし

映画 弱虫ペダル …漫画原作、実写映画…ジャニーズタレント起用…

と、原作ファンだけでなく大多数の人がなんとなく「あー、やっちまったな」を感じていた作品。

すみません。私も、そう思っていました。
キャラのヴィジュアルも違うし…なんだろうな…そういう作品じゃねえじゃん…恋愛映画のような配役センスだな…と、怪しんでいた。なんなら観るつもりなんてなかったです。
映画やるよという記事を見掛けても、完全に既読スルー。

いや、別にジャニーズ嫌いじゃないし親はキンプリファンだし、何もなかったんですよ。この映画に嫌な思いをさせられるようなことは、今まで何一つなかった。
ただ、弱虫ペダルというコンテンツに、私は実のところ、苦手意識を抱いている。
というか他の漫画作品にも言えることなんだけど、私って

"パッとしなかった主人公の才能が開花してどんどん急成長を遂げ化け物級に強くなる少年漫画の主人公"

が苦手なんですよね……。

弱ペダ主人公の小野田坂道くん、まさにこのタイプなので、まぁ大声で好きです!とは言えない複雑な気持ちを抱えているキャラな訳です。
そして残念ながら、アニメにしろ舞台にしろドラマにしろ…この苦手意識は変わらなかった。むしろ強化されていて、どの媒体の小野田坂道も私には脅威だった。

それを、あのジャニーズアイドルが、顔面国宝級が、やると。


ああ…。



本当に、観るつもりはなかった。
ただ偶然、時間があるので家でゴロゴロするのもな〜観てみるか〜と軽い気持ちで映画館へ。
そこでやっと、口コミを見る。

あれ?
評判が、良い…?

うそ?!絶対そんなことなくない?!?!(失礼)と思いながらもチケットを買い、ポテト食いながら見ました。



いやー、良かった。


友達がいないと言う小野田くんに泣き、

そんな小野田くんにペダル漕げ!と笑う鳴子くんに泣き、

みんなに追いつく!とひたすら前を進む小野田くんに泣き、

どうしていつも負けるんだろうと零す今泉くんに泣き、

今泉くんに負けた悔しさを海に吐き出す鳴子くんに泣き、

(中略)

最後まで何度も何度も繰り返し、号泣。
そして何より、小野田坂道という主人公を、愛おしく思えた。やっぱり化け物だとも思うけど、ジャニーズアイドルが演じたと、あえて言う必要はないなと思う。笑いながら声を上げて走る姿は、まさに小野田坂道だったのに、夢中で応援している自分がいた。

みんなのために走る小野田くん、そんな彼を取り巻く仲間たちも、みんなどこか愛情に満ち溢れていて、人間らしく、ヴィジュアルも含めよりリアルに感じられたから、だからこそすげえエモーショナルに訴えかける作品だなと思えた。
(エモいという言葉では足りないと感じたので、あえてエモーショナルだと表します。)
観ている間の半分くらい「愛だ…愛が溢れとる…」と、脳内で訳わかんないことを繰り返し思ったりもした。




声帯がアニメに寄せられているので、見た目の差異はあんまり気にならない。
いや、気になってても、どんどん受け入れてしまうほど、かなりナチュラルに落とし込まれていると感じた。
むしろ真っ赤な髪の毛じゃなくて良かった。緑の長髪なら浮いていた。そういうナチュラルさです。体格などもかなり自然。漫画で極端に表現されていたものを、丁寧にリアルに近付けた結果なのだろうと思う。
坂の途中で小野田くん待ちしてる時のぷるぷるしてる今泉くんなんかは、現実的過ぎてちょっと笑ってしまった。あれ、笑うとこじゃない…?
鳴子くんと田所先さんの掛け合いなんかは、客観的にはこいつらうるせえな!と思うけど、何故か不自然ではない。うるさいけど。
巻ちゃんは本当に難しかったと思う。非現実的要素盛りだくさんのキャラなので。やっぱりみんながナチュラル過ぎて、「〜ッショ」だけが絶妙に面白いんだけど、小野田くんとの会話に詰まる感じとか…信頼してる感じとか…巻ちゃんなりに人との関わりを頑張っているんだなぁという、不器用さが滲み出ていて、素敵だった。
金城さんは、小野田ストップとかチームのために死んでくれ云々で、この人おっかねえ!と一瞬ヒヤッとさせてからの、キャプテンの包容力の見せ方が、素晴らしいギャップで…。もっと見てえ…この人の金城さんが……。

演出についても、文句なしです。
お風呂シーンもあるのにな…変なサービス感がなくて良い。これ、結構大事だよな…と思う。やっぱりサービス感があると、一気に冷める。あえてそういうシーン作りました!役者ファン嬉しいでしょ!みたいなのがあるからな…。総北の和気あいあいっぷりみたいなのを、描くためのちゃんとした風呂です(?)
その後、1人で練習していた今泉くんが、小野田くんと話をした後に銭湯行くぞ!と言うシーンが、めちゃくちゃ好き。お前ら…めっちゃマブダチやんけ…! 

なんだろう…描かれていない部分の物語も知っているからかな…みんな出会えて良かったなって思える。いいチームだな、みんな優しいなって、あの時間の中で、しっかり植え付けられてしまった。
この雰囲気の延長で、もし箱学を見せられたら、序盤からまた泣き続けることになる。そして私はそれを観たい。この映画に対しての信用度が、爆上がりしている。弱虫ペダル2できたら前売り買うから早めに言って…。



ああ、みんなにも観てもらいたいな〜!
満足度がとても高かった。
実写化への不安を、ここまで払拭されたことがないので、それだけでも体感して欲しい。
疑ってくれてもいい。でも、観てよ。
テレビで見たら、変わってしまうだろうな。もし放送されても、CMでキンプリが出ようもんなら、きっとダメになる。
映画館で観たらいいと思います。